少子化はどれほど「待ったなし」の課題なの?(「少子化と財政運営」岩本康志先生の講義より)
少子化は本当に「待ったなし」の課題なのか。UTokyo Channelで公開中の東京大学公開講座、岩本康志先生の講義「少子化と財政運営」をもとに、人口推計から見える将来像と社会保障の負担のゆくえを、東大生ライターが紹介します。
2026年5月4日、子どもの数が45年連続で減少し、1950年以降で過去最低を更新したと発表されました。
少子高齢化は日本が抱える大きな問題の一つです。
「少子高齢化が問題」ということは皆さんご存じかと思いますが、その影響は様々です。
中でも、今後の社会保障の不安などが取り上げられることが多いですが、実際のところどのような状況なのでしょうか?
今回は、そんな少子高齢化と財政について語られている「少子化と財政運営」という講演をご紹介します。
講師の岩本康志先生は、経済学研究科・公共政策大学院の教授で、財政と社会保障を中心に研究されています。
では、早速現状を確認していきましょう!
少子化は待ったなし?
講演の行われた2023年、少子化は「待ったなしの課題」に位置付けられ、こども家庭庁が発足し、当時の岸田政権が「異次元の少子化対策」を掲げました。
少子化対策のための「こども未来戦略」の中では、「こども・子育て政策の基本的考え方」が示されています。
しかし、岩本先生はこれに突っ込みを入れていきます。
例えば「世界第3位の経済大国」という表現には「購買力平価で見ると既に4位」であることや、「2030年までがラストチャンス」という表現には、ではこれまで何をしてきたのか?といった点を指摘します。

さて、これまで何をしてきたのか、という点については、これまでの少子化対策の取り組みが講演で簡単に紹介されています。
少子化が「待ったなし」の課題に位置付けられているのは今に始まったことではなく、実は2009年などにも言われていたのをご存じでしょうか?

しかし、2023年になっても待ったなしの状況は改善されていません。
そして、なぜ改めて「待ったなし」が強調されているのかは、人口ピラミッドからもわかります。

上に示した2005年の人口ピラミッドを見てみると、当時30代前半くらいだったいわゆる団塊ジュニア世代(第2次ベビーブーム世代)の後に大きな出生ブームがなく、出生数が年々減少していることがわかります。
親になる世代の人口が今後減少することから、今後も減少が続き、2070年には以下のような人口ピラミッドになると推計されています。

2070年の人口ピラミッド(上の画像)では、出生率について3つの仮定(少なめ、中位、多め)を置いています。
経済などの予測は短期でも当てるのが難しい一方で、人口の予測は長期でもかなりの確度で可能だそうです。
人口問題に限らず、先のことでも見通せるものはよく見通して考えていくことが重要だというのが岩本先生からのメッセージです。
間違いではない「こども・子育て政策の基本的考え方」
さて、先ほどの「こども・子育て政策の基本的考え方」について、岩本先生は正しいといえる点も強調しています。

中でも、所得から税金等を除いた再分配後所得が重要で、いわゆる手取りを増やさなければ少子化を反転することは難しいと指摘します。
しかしながら、現役世代が扶養する人口はこれからますます増加していくと予想されており、社会保障費の負担の増加も心配されます。
また、社会保障費の負担の増加は、高齢化によるものだけではありません。リーマン・ショックや東日本大震災、新型コロナウイルス感染症の流行なども密接に関係しています。
このような点を含め、少子高齢化の何が問題なのでしょうか?どのような解決策があるのでしょうか?何が重要なのでしょうか?
講演では、様々なグラフも交えながらこれらの点について議論されています。
ぜひ、皆さんも動画を視聴し、改めて少子高齢化という問題について考えてみてはいかがでしょうか?